私が勤務する新潟市立新津図書館は、大正14年に新津町記念図書館として開館し、平成27年に創立90周年を迎えました。現在の図書館は3代目で、平成26年に新しく建替えられました。明るく、開放的なつくりとなっており、毎日、多くの方が来館されます。
新潟市立図書館は、中央図書館(ほんぽーと)を中心に、新津図書館を含め19の図書館がオンラインで結ばれており、ふだん利用する図書館で所蔵されていない資料でも、迅速に他の図書館から取り寄せることができます。資料は自宅のパソコンから検索し、予約することもできます。(私が学生の頃は、図書館に行って、そこにある目録カードをめくりながら本を探していました)

図書館における業務は、選書、カウンター、広報活動、絵本の読み聞かせ、学校支援など多岐にわたります。
選書は、年間、約8万点出版される図書の中から、購入する図書を選定する作業です。市立図書館全体で効率よく収集するため、毎週、各館の担当者が出席する選書会議の場で、購入図書の調整などを行っています。
カウンターでは、主に貸出、返却、貸出カードの登録、利用案内などを行います。来館される方が気持ちよく利用できるよう、明るい応対を心がけています。
また、図書館だよりを発行したり、毎月、特定のテーマに沿った本の展示を行うなど、読書推進活動に力を入れています。“来館するたびに新たな発見がある”個人的にはそのような図書館を目指しています。
他にも絵本の読み聞かせやブックスタート、小中学校の調べ学習に使う図書の貸出しなどを行っています。

以上、おもな業務について簡単にご説明しましたが、もうひとつ忘れてならないのがレファレンス・サービスです。
レファレンス・サービスは、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、司書による調査援助を指します。新津図書館には専用のレファレンス・カウンターがあり、来館者の調査相談に応じています。たとえば、“この本はどこの図書館にあるか”という質問に対して、新潟市立図書館で所蔵していればすぐに提供できますし、所蔵していない場合は、他の自治体から借りる手続きをとります。書名や著者名などが明らかな場合、こうした所蔵調査は、簡単に回答することができます。また、“自転車の修理方法”、“ジャムの作り方”、“遺産相続について知りたい”というような質問は、キーワードで検索し、ヒットした図書を提示することで、おおむね解決できます。一方、調査に時間がかかるケースもあります。以前に受けた調査相談は、“明治時代に書かれた○○という人の日記に、高谷油田についての記述があったが、その油田があった場所や当時の様子を知りたい”というものでした。すぐに回答できないと判断し、時間をいただいて調査を進めることにしました。新津図書館は郷土資料が充実しており、石油に関する古い資料も所蔵しています。それらの資料を丹念に調べることで、求める情報にたどり着くことができました。
インターネットが発達した現代では、誰でも簡単に情報を得ることができます。しかし、インターネット上の情報は、すべてが信頼できるものとは限りません。レファレンス・サービスの現場では、信頼性の高い情報を提供するために、最終的には必ず書籍で確認することを心がけています。
レファレンス・サービスは苦労を伴いますが、たいへんやりがいのある仕事です。一つ一つの質問が、私たち司書にとって得がたい経験になります。
みなさんも知りたいこと、調べたいことがあれば、気軽に相談していただきたいと思います。どの図書館でも、司書が親身に対応してくれるはずです。

最後に、レファレンス・サービスについて、興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、この本をお薦めします。

『図書館のプロが教える調べるコツ』
浅野高史+かながわレファレンス探検隊/著  柏書房 2006年